2月の誕生石は、アメジストとクリソベリル・キャッツアイの2つです。長らくアメジスト1つだけでしたが、2021年12月の改訂でクリソベリル・キャッツアイが加わりました。その追加理由がユニークで、2月22日が日本の「猫の日」、2月17日がヨーロッパの「World Cat Day」であることにちなんでいるとされています。猫の目のような一筋の光を宿す宝石が、猫の月にやってきたわけです。
2月の誕生石といえばアメジスト——そう覚えている方が、ほとんどではないでしょうか。ところが2021年、そこに新しい仲間が加わりました。それがクリソベリル・キャッツアイです。しかもその選定理由が「猫の日にちなんで」という、なんとも粋なものだったのです。この記事では、2つの石それぞれの魅力と、知っておきたい扱い方までをご紹介します。
2月の誕生石は2つ
| 宝石 | 石言葉(伝承)と特徴 |
|---|---|
| アメジスト | 誠実・心の平和。和名は紫水晶。水晶の仲間。 |
| クリソベリル・ キャッツアイ | 守護・慈愛・希望。猫の目のような光の筋が現れる。 |
※石言葉は古くからの言い伝えであり、効果を保証するものではありません。
1958年に日本の誕生石が定められて以来、2月はずっとアメジスト1つでした。それが2021年12月、63年ぶりの改訂により、クリソベリル・キャッツアイが仲間入りしたのです。10種類が追加されたこの改訂のなかでも、2月の選定理由は、とりわけ印象に残るものでした。日本では2月22日が「猫の日」、ヨーロッパでは2月17日が「World Cat Day」——猫にゆかりの深い月だから、猫の目を宿した宝石を——というわけです。
アメジスト|「酔わない石」という語源
アメジストは、深く澄んだ紫色が美しい、水晶の仲間です。和名は「紫水晶」。鉱物としては石英(クォーツ)で、そこに含まれる鉄分と自然の放射線の作用によって、あの紫色が生まれます。石言葉は「誠実」「心の平和」。古代ギリシャ・ローマの時代から高貴な石として珍重され、中世ヨーロッパでは王冠や高位聖職者の指輪にも用いられてきました。フランスでは2万年以上前の遺跡から、アメジストを使った装身具が見つかったという記録もあります。
面白いのが、その名前の由来です。ギリシャ語で「酔わない」という意味の言葉に由来するとされ、ワインのような紫色をしていることから、身につけていると酒に酔わないと信じられていました。ローマ神話に登場する酒の神バッカスにまつわる伝説も残されています。宴の席で身を守ってくれるお守り——そんな役割を担ってきた宝石でもあるのです。
アメジストは日光に弱い
アメジストを扱ううえで、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。アメジストは、強い日光に長時間さらされると、あの美しい紫色が褪せてしまうことがあるのです。窓辺に飾ったままにしたり、日差しの強い場所に置きっぱなしにしたりすることは避けましょう。硬度は7程度で日常づかいには十分ですが、色を守るという意味では、保管場所に気を配りたい石です。手入れは、柔らかい布で拭くか、ぬるま湯で軽く洗う程度で十分。急激な温度変化も避けるのが無難です。
もう一つ、興味深い性質があります。アメジストに熱を加えると、紫色が黄色へと変化するのです。じつは、11月の誕生石であるシトリンとして市場に流通しているものの多くは、こうしてアメジストを加熱処理したもの。紫と黄色という、まったく違う顔を持ちながら、じつは両者は同じ水晶の仲間なのです。詳しくは「11月の誕生石」でも解説しています。
アメジストは、比較的手に取りやすい価格帯のものが多いのも魅力です。かつては王侯貴族だけのものでしたが、19世紀に大規模な鉱床が発見されて以降、多くの人が楽しめる宝石になりました。歴史の重みと、身近さを兼ね備えた石といえるでしょう。
クリソベリル・キャッツアイ|光が描く猫の目
2021年に加わったクリソベリル・キャッツアイは、その名のとおり、表面に猫の瞳のような一筋の光が浮かび上がる宝石です。この現象は「シャトヤンシー(猫目効果)」と呼ばれます。石の内部に、極めて細い針状のものが平行に整列していて、そこに光が当たると、反射した光が一本の線となって現れる——そういう仕組みです。光源を動かすと、光の筋もすっと移動します。まさに、猫の目が細くなったり開いたりするように。
名前の由来は、ギリシャ語の「クリソス(黄金)」と「ベリル(緑柱石)」を組み合わせたもの。蜂蜜のような黄金色の地に、白い光の筋が走る姿は、他の宝石にはない独特の存在感があります。硬度は8.5と高く、日常づかいにも向いた丈夫な石です。石言葉は「守護」「慈愛」「寛大な心」「希望」。アジアでは古くから魔除けやお守りとして親しまれてきました。
「キャッツアイ」という呼び名について
猫目効果は、クリソベリル以外の宝石にも現れることがあります。水晶やトルマリンなどにも見られる現象です。ただし宝石の世界では、単に「キャッツアイ」と呼ぶ場合、一般にクリソベリルのものを指すことが多く、他の石については「クォーツ・キャッツアイ」のように鉱物名を添えて区別されます。購入時には、何の石のキャッツアイなのかを確認しておくと安心です。
クリソベリル・キャッツアイは、日本と縁の深い宝石でもあります。1879年、イギリスのヴィクトリア女王の息子が婚約指輪にこの石を用いたことで、宝石としての注目が一気に高まりました。日本でも、かつて元総理大臣がこの石を高額で購入したことが話題となり、広く知られるようになったといわれています。希少石への関心が高い日本は、現在このクリソベリル・キャッツアイの最大の市場ともいわれるほど。日本人に愛されてきた宝石が、日本の誕生石に加わった——そう考えると、味わい深いものがあります。
どちらを選べばいい?
選び方のヒント
- 手に取りやすさなら:アメジスト。流通量が多く、価格帯も幅広く選べます。
- 希少性を求めるなら:クリソベリル・キャッツアイ。産出量が少なく、愛好家に人気です。
- 丈夫さで選ぶなら:硬度8.5のクリソベリル・キャッツアイが有利です。
- 猫好きの方へ:猫の日にちなんだ石という物語ごと、贈り物にできます。
どちらも正式な2月の誕生石です。紫の気品を纏うか、猫の目の神秘を宿すか——まったく違う魅力を持つ2つですから、好みで選んで問題ありません。他の月の誕生石は「誕生石一覧」でご覧いただけます。
なお、クリソベリル・キャッツアイの手入れは、それほど難しくありません。硬度が高く丈夫なため、柔らかい布での拭き取りや、中性洗剤を薄めたぬるま湯での洗浄で十分です。ただし、硬い石と一緒に保管すると傷つき、逆に柔らかい石を傷つけてしまうこともあるため、他の宝石とは分けてしまうのが安心。また、急激な温度変化には弱いので、熱いお湯での洗浄は避けてください。丈夫な石ほど油断しがちですが、少しの配慮が輝きを長持ちさせます。
よくある質問(FAQ)
2月の誕生石は何ですか?
アメジストとクリソベリル・キャッツアイの2つです。長らくアメジストのみでしたが、2021年12月の改訂でクリソベリル・キャッツアイが追加されました。
なぜクリソベリル・キャッツアイが追加されたのですか?
2月22日が日本の「猫の日」、2月17日がヨーロッパの「World Cat Day」であることにちなむとされています。猫の目のような光を宿す石が選ばれました。
アメジストの名前の由来は?
ギリシャ語で「酔わない」という意味の言葉に由来するとされます。ワインのような紫色から、身につけると酒に酔わないと信じられていました。
アメジストは色が褪せますか?
強い日光に長時間さらされると、紫色が褪せることがあります。窓辺など日差しの強い場所での保管は避け、暗所にしまうのがおすすめです。
シャトヤンシーとは何ですか?
猫の目のような一筋の光が現れる現象です。石の内部にある極細の針状のものが平行に並び、光を反射することで生まれます。光源を動かすと光の筋も移動します。
アメジストとシトリンは関係がありますか?
どちらも水晶の仲間です。アメジストに熱を加えると黄色に変化するため、11月の誕生石シトリンとして流通しているものの多くは、加熱処理されたアメジストです。
ちなみにアメジストにも、いくつかの種類があります。淡い藤色から、赤みを帯びた深い紫まで、色の濃淡はさまざま。一般に、濃く鮮やかで、赤みを含んだ紫のものほど高く評価される傾向があります。また、加熱によって淡い緑色に変化させた「グリーンアメジスト」と呼ばれるものも流通しています。同じアメジストという名でも、印象は大きく異なりますから、実物を見比べてみると好みがはっきりしてくるはずです。
まとめ|猫の月に加わった宝石
2月の誕生石は、アメジストとクリソベリル・キャッツアイの2つ。63年間アメジスト1つだった2月に、2021年、猫の日にちなんで新しい仲間が加わりました。アメジストは「酔わない石」という語源を持ち、日光で退色するという繊細な一面も。クリソベリル・キャッツアイは、硬度8.5と丈夫で、光が描く一筋の輝きが唯一無二です。物語のある2つの石から、心惹かれるほうを選んでみてください。最後に、要点を振り返ります。
- 2月の誕生石は2つ
- 2021年にクリソベリル・キャッツアイ追加
- 理由は「猫の日」にちなむ
- アメジストの語源は「酔わない」
- アメジストは日光で退色する
- 加熱すると11月のシトリンに
参考・出典
※石言葉や伝承は古くからの言い伝えであり、科学的な効果を示すものではありません。誕生石の制定内容は改訂される場合があります。